日本財団 図書館


 

(全体システム技術)
以上述べた機関本体、高圧燃焼系、排ガス凝縮系および排出系を組合せた全体システム試験装置製作し試験を実施した。全体システム試験の圧力は、高圧ガス取締規則の関係で、最大5MPaの圧力とせざる得ず、7MPaにおける性能は5MPaでのデータをもとに推定することにした。
(1)エンジン出力試験では5MPaにて20.6kWの出力を得た。この結果をもとに7MPa圧力下での出力を推定したところ、目標とする20kWを超え満足する結果を得た。しかしながら、出力は出たものの熱効率が目標の20%を割る結果となった。
熱効率向上を図る見直し点としては、放熱損失、ヒータ長さおよびコンプレッサブロックの製作法にあげられる。
放熱損失については、断熱材を耐火材のサンドイッチ構造の採用と燃焼器の短縮化により50%程度低減可能で熱効率を10%以上改善の見込みがある。また、ヒータ長さの短縮化およびコンプレッサーブロックの鋳物化により熱効率を5〜10%以上の改善が行える見込みもあり、これらの対策と施すことに22%程度の熱効率が得られるものと考えられる。
(2)排ガス凝縮装置と海中排出装置を組合せ、排ガスを凝縮すると同時に、凝縮された水と炭酸ガスを連続的に排出する試験を実施した結果、計画通り凝縮器における凝縮水および凝縮炭酸ガスの液面レベルに応答して、海中排出ポンプが発停を繰返し正常に作動することが確認され実用化の目途を得た。
(3)50%負荷相当分の燃料(灯油)量の投入時間を変えて、出力として安定する時間を負荷制御試験と実施した。
燃料の投入が早いほどヒータメタル温度の立上がり出力し始める。メタル温度は650℃でアイドリングをしているが、これが700℃程度に達するといずれの場合も出力を開始しており、系としては負荷に応答し安定して運転できる目途を得た。
今回の試験では、目標の80%程度の出力に達するのに10分程度、安定までに12分程度の時間を必要とすることが判明した。
長期間にわたって広範囲に行動する潜水船にとって、急激な出力を変えて運転する

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION